woodbe開発ヒストリー

前編開発ヒストリーと実績

前編

興味が確信に変わった日

──  woodbeサービス展開に至る一番最初のきっかけは何だったのですか?

澤本
一番最初は、コンクリートの二次製品製造会社さんでコンクリートの乾燥に関わっている時に、大門さんが「これ面白いね」って興味持ってくれて、乾燥技術をコンクリートだけはなく、木材に生かせないかという話が持ち上がったところから始まりましたね。
大門
そうでしたね。
古谷
それっていつ頃の話ですか?
大門
もう12〜13年前ですね。2008年とか2009年ぐらい。
澤本
当時、そのコンクリートの二次製品製造会社さんの乾燥では、製品のU字溝にブルーシートを蚊帳みたいに被せるシート養生で、ホースで蒸気送ってて、その中の温度を65度にしてたんです。
その蒸気を改質水に変えて温度も58度にして乾燥したら、3分の1ぐらいの時間で乾いて、しかもコンクリートの仕上がりがとても綺麗で。
これ面白いねってことで、大門さんがU字溝の横で木材を乾かし始めたんですよね。
大門
そうそう。最初は杉材でしたね。興味本位ではあったけど、木材が乾く確信もあった。
コンクリート乾燥してる横のすみっこに「ちょっと置かせて」って、1mくらいに切ったやつ置かせてもらって。そしたら綺麗に乾いたんだよね。
古谷
それで、次どうしたんですか?
大門
角材が綺麗に乾いたから、次は丸太入れたみたの。30径くらいの。
で、普通は中心部まで熱が行かないんだけど、測ってみたら中心部まで熱が届いてたんだよね。
澤本
そうそう。コンクリートも、テストピースは中心と中間と外側に温度計入れて測るんだけど、木材もそうやって測ってみたら、数時間後には中から乾いてきてるっていう結果が出たんですよね。
2012年時の乾燥記録資料より
2012年時の乾燥記録資料より
大門
それが、「改質水を使うと中心部から乾く」っていう実証になった。
澤本
元々、コンクリート練るのにも改質水を使ってもらってたんだけど、広がり方の流動性が15%ほど上がったり、しかもバイブレーターなしでも綺麗に広がって、さらに二次製品の仕上がりが綺麗っていう結果出てたんですよ。
大門
うちも住宅の基礎工事でコンクリートに改質水使ったら、「このコンクリート勝手に流れてくね、すごいね」って話題になったよ。
正直言って、信じられなかったよ(笑)
澤本
まぁ、最初はみなさん半信半疑ですけどね。「水と石でこんなに変わる?」ってね(笑)
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3社の協力体制からの事業化

──  古谷社長の元に話を持っていく前にも、別会社の乾燥炉でテスト乾燥されていたそうですが?

澤本
そうです。能登に乾燥炉持ってる会社さんがあって、「燃料費ばかりかかって乾かない」って仰るから、改質水導入してもらってやったら、すごく早く乾いて。
そこで、何種類も乾燥かけて、それぞれ強度試験とか応力試験とかのデータを自分たちで取り始めたんです。
大門
それを2年くらいかけてやってたかね。そしたら環境活動家の田中優さんの耳に入って、これすごいねってことで、見学説明会開いたら300人くらい集まったんだよね。
あんな能登の遠いところまで(笑)
澤本
でもその後、その木材会社さんはなくなっちゃったから、木材乾燥プロジェクトも一旦ストップしたんですよね。
大門
そこで、フルタニランバーさんに話持ってたんだよね。
フルタニランバーさんとこの会長と、澤本商事さんとこの会長が、とある繋がりで知り合ってて、古谷会長は乾燥技術に興味持ってくださってたんだよね。
古谷
そういう繋がりがあったんですね。それから、大門さんに来ていただいて、会長に効果説明をしてもらったんでしたよね。
ただ、実績は又聞きでしかないから、どうしようかと思ったんですけど、うちの会長はチャレンジ好きなもんで、「とりあえず明日からやってみていいよ」ってことで、すぐに1基使って乾燥かけてみることにしたんですよね。
大門
そうそう。それで、どうせやるなら、石の配列とか見栄えもきちんと考えたものにしようってことになって、設計しました。
古谷
その導入完了が2019年3月頃で、その後しばらくテスト乾燥とかしてましたね。
その時、僕はまだそこまで介入してなくて、澤本会長に勉強会も開いてもらいましたけど、化学的なことはなかなか難しくて、実は半信半疑でした(笑)
澤本
確かにね。「水と石で乾くなんて、そんなことある?」って思われますよね。あと、蒸煮必要って説明しても、「乾かしたいのに濡らすなんて、、、」って言われたりします(笑)
古谷
そうですね。でも、その後一枚板とか様々な樹種を乾燥させてみて成功実績も出来てきたので、事業化したらいけるんじゃないかという頭になってきました。
丸太を生材のまま乾燥させてうまくいった実績は驚きましたね!
木材乾燥は、効果だけじゃなくて実績として数値が出るので、説得力も増すんですよね。
事業化の決め手は2つあって、1つはカリモク家具さんからの問い合わせがあったことと、2つ目は85角のチェリー材が急いで必要、とういお客様にお応えできたことです。
そこからこの事業や企画が具体的になって、「woodbe(ウッドビー)」と名付けて進めていくことになりました。
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大門
いや〜、でも実際ほんと一生懸命やったからね。
ゴールデンウィークも関係なく、毎日フルタニランバーさんの乾燥炉の様子見に来てたし、夜も気になって来てたくらいで(笑)。
だからうまくいって本当によかった。
古谷
ありがとうございます。
実際、うちの社員もwoodbeの技術や結果に賛同して、営業に熱心に取り組み始めてくれて、嬉しいかぎりですよ。
僕は全国にネットワークあるし、いろんな樹種を試せる環境が会社にあるから、そのPRと実績を積んでいく役割かなと思ってます。

──  それで2021年春に3社の共同事業となったわけですね。

澤本
そうです。10年以上の実験や検証がようやく形になって嬉しいです。
古谷
まだまだこれからですね!